店長日記

おふとんの話ではないけれど、先日自宅で飼っていた猫が亡くなりました。名前はラン。13才でした。

来た頃は、まだ猫も外にたくさんいて、うちの猫も自宅と店を行ったり来たりしていました。50メートルほどの距離です。
そしてまだ店の裏には住宅も少なく(今は団地になりました)畑や田んぼがあり、絶好の狩りの場として毎日とても楽しく過ごしました。
若い頃はカナヘビ、トカゲ、野ネズミ、スズメ、ヘビ、モズ、ハトなど、かなりの獲物を店まで届けてくれました。


何度か行方不明にもなりました。1週間ぐらい経ってよろよろになりながら帰って来ることも。
約3年前の暑い夏、どこを探しても帰ってこなくて、やはり約1週間、毎日夜静かになった時間に声が聞こえないか探し回りました。
夜中、か細い声が聞こえ、痩せて彼女は帰ってきました。ああ良かったね!と一安心。
だけどそこからあれ?っと異変を感じました。それは微妙に遊ぶときの反応が少ない、という事でした。


病院に行くと「目が見えなくなっている」との事でした。暑い夏にいなくなり、水分不足か何かで血圧が上がり、腎機能が弱って・・・のような説明をもらいました。まだ完全に見えないわけではないけれど牛乳瓶の底のような状況だと。
家の中で、物の位置を変えないように外に出さないようにと指示をもらいました。

ランにとって、家の中でずっと過ごすことはとても辛かったと思います。初めから家の中で飼っていれば、なんてことはないと思いますが、出たい出たいと鳴く毎日。目の届く範囲で散歩?させるしかできませんでした。それでも金網をよじ登ったり、塀に上がったり、見えないのに活発に過ごしていました。季節が良くなった最近は、しょっちゅう家から出してそれぞれ家族が見張っていました。

1年前、目が見えなくなってどうやって出たのか逃亡。1週間はさすがにもうダメだと思っていました。主人がネットで呼びかけると、うちの子どもたちが全員通った幼稚園の先生がそれを発見。幼稚園の裏山でぐったりしていたのを助けて下さったとの事。彼女の昔の遊び場です。目が見えなくて帰れなくなったんだと思いますが、助けていただきました。本当にお世話になりました。


それからはもっと見張りを強化。でも私はいつも「これってラン幸せなのか」といつも問いかけていました。
ゴールデンウィーク最終日。その日は突然やってきました。朝、家の周りで遊ばせながら、たまたま来た母親とラン、目が見えるみたいに元気やね~と話しながらサクランボを収穫していました。昼は膝の上でゴロゴロ。なんてことのない日でした。

夕方、近所の方が来て「ねえ、飼ってる猫三毛猫よね?」と。「そうよ~」「今いる?」「うん、うち目が見えなくなってからは外に出さんからおるよ。ちょっと待ってね」「え?いない・・・」「この猫じゃない?」と写真を見せてくれると「そう」

あのね、交通事故にあった猫がいて、Xで飼い主さん探してて、たまたま見つけてとの事。「え?え?何?」頭は一瞬パニック。

よく聞くと、今動物病院だとの事。
女性の方が道で苦しんでいるランを見つけ、その姿を見たご夫婦の車が停まってくださり、休みの日に開いている動物病院はないかそばの消防署に聞きにいってくださり、開いていた病院へ連れて行って下さったとの事。

近所の方がその方と知り合いで、すぐ電話してくださりその電話口で病院の先生と話すことに。先生は急を要しますという内容をお話され、家族ですぐ病院にむかいました。病院までは10分もかかりませんが、運転しながら心臓はバクバク。家族みんながそんな気持ちだったと思います。そして連休中、みんなそれぞれ用事があり揃わなかったのですが本当にたまたまその日だけみんな家にいました。だからみんなで行くことができました。

病院につくと、女性の方が外に走って出てきてくださいました。まずは中で様子を聞かねばです。
酸素の部屋にランはいました。苦しそうに、そして私は「これは・・・」と感じました。一所懸命名前を呼びました。体をあげたくても挙げれない様子はわかりました。

先生は本当に素晴らしく寄り添ってくださる先生で、たくさんの説明をしてくださいました。家族はみんなパニックの中冷静にどうしようか考えていました。先生の話は遠回しだけれど一晩持たないだろうという事。

今後どうするかを決めてくださいと。私は子供全員に「ランのためにはどうするのがいいか」を問いかけました。私の中では決まっていました。そして最後主人に確認をとり、家に連れて帰ろうと決めました。先生が「わかりました、でも・・」と説明され、主人が「やっぱり病院で一晩様子を見て可能性があるなら!」と言いました。そりゃ気持ちはわかるので、じゃあもう一度様子を見ようと声をかけ、そばに行って声をかけました。

ランは辛いだろうに、横たわった体を一瞬起こし、家族の方に向いてくれました。意識はあるかわからないけど「渾身の」という表現がそのまま当てはまるそんな姿でした。本当に一晩?病院に?大丈夫なのか?そう考えていると先生が「さっきより状態が悪くなっています」と言われたところで私は「家に連れて帰ろうよ」ともう迷いなく決めました。

そこから先生と看護師さんが、診察台にランを寝かせてくれ、酸素をランにつけてくれ、みんなで声をかけ、家までもつようにと車に先に全員が乗り、私も運転準備し、助手性の主人の膝にランを乗せ、家まで帰れるようにしてくれました。

信号は全部青。帰りたいよね、ラン間に合えと思いましたが、ついたときにはもう息がありませんでした。傷ひとつなく綺麗なままで、いつも横になって寝ている姿と全く同じ。すぐに箱を次女が用意。好きな服を長女が用意してその中へ抱っこしていつもの寝姿のまま入れました。まだあたたかく、声をかけたらにゃ~と言いそうです。

でも残念ながら戻ってはきません。この変わらない現実を受け容れる事は家族にとって初めてのことで、見るたびに悲しくなります。あまりにも突然でしたが、動物を飼うという事はそういう事ですね。女性の方にはショートメールで連絡しました。



次の朝はみんなは仕事に学校にでしたが、私は定休日。朝から長女と予定を組みました。
朝1番、猫の火葬をしてもらえるところを探して電話。対応をすぐしていただき、昼1時の予約。それまでにご夫婦にお借りした毛布をクリーニングに出しに行きました。お世話になった方々へのお礼を用意し、まずは病院へ。お支払いに行き、先生とお話させていただきました。この先生と看護師さんには感謝しても感謝しつくせません。「また何かありましたらお世話になります」と言うと「ここには来ないで済むのがいいんです」とおっしゃられ、本当に動物を大切にしていただける病院だなと思いました。
今年の4月にオープンしたばかりの「ななみ小動物クリニック」さんです。先生、看護師さんには本当にお本当に感謝です。

そしてランとのお別れ。「プチモ」さんでお葬式をしてもらいました。最後のお別れは想い出がたくさん浮かんできてとても辛かったです。丁寧にお話をしてくださいました。ありがとうございました。

その後、病院にいてくださった女性の方へお礼に伺いました。この方の想いのおかげで生きているランに最後会う事ができました。
心から感謝いたします。

玄関からいつも鳴き声がした家は、ついいつものように「らーん」と呼んでしまいますが、これも忘れていくのでしょう。まだいるような気がします。



そして昨日、最後の事。毛布を貸してくださって病院まで連れて行っていただいたご夫婦と待ち合わせて毛布を返却しました。
名前も何もおっしゃらなかったですが、お供えのお花をいただきました。
私にはきっとできない事です。猫が道で事故に合って、首輪のない猫を病院を探してそこまで連れて行く。
いくら考えても行動はできないと思います。それをさらっとされるご夫婦。尊敬しかありません。
どこの方かもわかりません。でもずっと心で家族中感謝させていただきます。


近所の方にも可愛がられていました。本当にたくさんの方の力を借りて生きてきたランでした。
もう会う事は出来ないけれど、先日東京出張でふらっと立ち寄った神社が猫にまつわる神社で「忘れずに拝んでよ」とランに言われた気がします。忘れないよ~一緒に過ごしてきた日々、楽しかったね。天国で安らかにね。



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